偏差値40の公立高校からイギリスの大学を卒業した元英会話講師のJINです。
結論から言うと、似たような用途で使うTOEFLやIELTSより問題は比較的簡単です
- TOEFLやIELTSと比較すると圧倒的に負担が少ない
- 問題形式が従来テストとまったく異なる
- 問題の難易度は受験者のレベルによって自動的に変化
私がイギリスの大学に行った10年前、留学に使う英語テストはTOEFLかIELTSのほぼ二択でした。
そこで近年彗星のごとく現れたのがDuolingo English Test(略称DET)!
人気言語学習アプリのDuolingoが運営
飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を続けており、今やTOEFLやIELTSと並んで多くのアメリカの大学では英語力の証明と使えるようになっています。
今回はDuolingo English Testを実際に受験された、アメリカの大学卒業者であるRikoさんにインタビューをして記事を作成しました。
まだ新しいテストだからこそ知っておきたい貴重な基礎情報をいろいろお聞きしました
- Duolingo English Testの難易度について理解できる
- 実際に受験した人の肌感がわかる
- 他の類似テストとの比較や換算も紹介
大学で使えるってことは難易度も高いんでしょ…?
簡単ではないけど、従来のTOEFLやIELTSとはひと味違った難しさかな…
Duolingo English Testの難易度|主観と客観で考えるレベル
結論、DuolingoEnglishTestは、TOEFL iBTよりは比較的簡単と言えます。
そのように考えられる理由はいくつかあります。
ひとつは試験時間が圧倒的に短いこと
ここからは、主観と客観でDuolingo English Testの難易度やレベルについて、あらゆる側面から解説していきます。
実際に受験して感じた全体的な難易度
まず、Duolingo English Testは、TOEFLやIELTSより負担が少ないのが特徴。
1時間ほどで試験が終わってしまい、ひとつの問題に対してすべて制限時間がある試験です。
逆に言えばTOEICや英検などの英語試験と比較すると、試験中のタイムマネジメントが鍵となってきます。
1問につき制限時間が設けられているため、解答中の問題を一旦飛ばして後で戻って解答することが不可能
その点を踏まえれば、その場で集中して素早く答えるスピード感が重要ですし、ある程度の速度で解答するには基礎的な英語運用能力が必須です。
DuolingoEnglishTestは、問題の正答可否に応じて試験内容が簡単になったり難しくなったりする適応型のテスト。
よって1問1問、解答者によって問題の難易度はその時々で異なる
話したり書いたりするアウトプット形式の問題は、Duolingoの方が易しいと感じました。
大体の問題の内容は、「表示される文章の大意把握をした上で自分の意見を述べる」形式や、「とある状況に置かれたらどのように対応すべきか」というようなBehavioral Questionに似たような形式も出題されます。
DuolingoEnglishTestは、受験者によって難易度は変わり問題の形式もさまざまです。
ただし、ある程度基礎が定着し自分で英語学習のアウトプットを頻繁に行っている方であれば、難なく高得点をマークできる
なるほど…スピードが大事ってこと?
うーん…というよりも、スピーディーに問題を解くためには本質的な英語力がないとダメだよね、という考え方なんだと思う!問題自体の難易度はTOEFLやIELTSより低くても、傾向を対策してハックするのは難しいというイメージだね
次は、問われる各スキルの難易度についてそれぞれ解説します。
Conversationの難易度
DuolingoにおけるConversationは、「話して聞く」能力について指します。
発話する問題が中心で、ひとつの文章を制限時間内に読み上げたり、絵や写真についての説明をするような内容が多いです。
Conversation単体で見ると、頭をフル回転させなくても解けるような問題が多い
しかしDuolingoでは「Conversation×Production」というように技能の掛け合わせで問題が出ます。
そういった点では難しいと感じるような内容が出題されることもあります。
ただ今回私が受験したDuolingoの問題は、他の英語試験のように、自分の意見を論理的に組み立てて発話するような内容ではなかった
難易度的に言えば、日頃から音読やスピーキングの練習をしている方にとっては簡単だと感じるでしょう。
コンピューター試験だからこその難しさもありそうね…
Productionの難易度
Productionは、「書いて話す」能力について指します。
とはいえ、必ずしもスピーキングをするというわけではなく、タイピングで答えるような問題も含まれます。
絵や写真を文章で説明するような内容の問題や、少し長めの文章を読んで自分の意見を述べたり、質問に答えたりするような問題があった
ひとつの質問につき、タイピングする内容だと5分ほど解答時間が設定。
質問内容はその問題によって大きく変わります。
「実生活でこのような場面に遭遇したら、あなたはどうするか?」というような答えやすいものから、「社会の中のこのような問題に関して、どう解決すべきだと思うか?」という自分自身の環境から少し距離があり、比較的日本語でも答えにくいと感じる内容も出題された
普段writingの対策で、ある状況の説明や意見を論理的に説明するトレーニングをしている人なら、スムーズに解答ができるでしょう。
Productionって言われてもイメージわかないな…
Duolingo English Testでは、従来のリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングという区切り方はしていないからね、Productionはシンプルにアウトプット技能と考えて大丈夫、だからこそ話す、書くの問題が出題されるんだ
Comprehensionの難易度
Comprehensionは「聞いて読む」能力を指します。
どれだけ語彙力があるか試されるようなものや、文章の大意把握について解答するような問題が見受けられました。
練習テストにも本番の試験でも必ず出題されるのが「実在する単語にチェックを入れる」問題
実際に解いた時、私にとっては語彙力が一番の弱点だったので、正直ほとんどの単語が存在するように聞こえました。
TOEIC900点や英検準1級を軽々取れるくらいの実力があれば、確信を持って解ける問題だと思います。
他にもディクテーション(聞こえてきた英文をタイピングすること)形式の問題や、表示されている英文を声に出して読む、などの問題がありました。
英検やTOEICにディクテーション問題はないよね
そうそう、リスニングの本質的な英語力を見極めるにはかなり有効な形式だから、やはり新しい合理的なテストだなって印象だよね
Literacyの難易度
Literacyは「読んで書く」能力を指します。
文章の内容をいかに素早く理解できることが大事な要素です。
例えば、100語弱にひとつのパッセージを文脈をもとに適切な単語を入れる問題や、パッセージを読んで正しく要約されている選択肢を選ぶ問題が出題される
ひとつの問題につき約8分以内で答える必要があり、左上に制限時間の表示がありました。
私は試験前に、時間を気にしながら読解をする対策をしていなかったため、解答中に少し焦りが…
普段TOEICやTOEFLでたくさんリーディング問題を解き慣れている人は、比較的楽に解けるはずです。
ココでは「読み」と「書き」が組み合わされているのね!
日本語でも「読み書き」って言うし、やっぱり合理的な組み合わせだね
次は他のテストとの比較や換算をご紹介します。
他テストとのスコア換算比較
Duolingoの公式ホームページによると、150点や160点を取れる受験者は高度な学術的、専門的な内容だったとしても英語で理解でき、なおかつ柔軟に説明することも可能なレベルであるとされています。
100点を取れる受験者に関しては、受験者にとってよくわからない内容が出てきても問題なく意思疎通を図ることができ、かつその内容が抽象的でも問題がないレベルです。
Duolingo | TOEFL | 英検 | TOEIC | CEFR |
---|---|---|---|---|
60 | 23 | 2級 | 550 | B1 |
100 | 65-69 | 準1級 | 785~ | B2 |
150 | 117-118 | 準1級 | ~990 | C1 |
160 | 120 | 1級 | ~990 | C2 |
60点から100点の場合、簡単で内容が具体的であればコミュニケーションに問題がなく自分の意思は伝えられるレベルとされます。
点数だけ見ると、「私のレベルはこんなに高いところまで到達できるのだろうか?」と思う人も少なくない
しかし個人的な感想ではありますが、他の英語の試験と比べると内容はそこまで難しくないので、高得点をマークしやすいです。
ある程度日頃からいろいろな英語の問題に触れ、情報収集を英語でして、自分の意見を問題なく言えるようであれば実力以上の点数を取れる可能性もあります。
Duolingo公式ホームページにある無料の練習テストを一旦受けてみて、試験内容が自分にフィットしているか事前に確認するのがオススメ
ここからは、各テストとの難易度比較を紹介します。
TOEFLとの比較
Duolingo | TOEFL | CEFR |
---|---|---|
60 | 23 | B1 |
100 | 65-69 | B2 |
150 | 117-118 | C1 |
160 | 120 | C2 |
2つの試験の大きな違いとしては、出題内容がまったく異なることです。
TOEFLはPartごとで、Listening・Reading・Speaking・Writingに分けられています。
一方DuolingoではTOEFLのような4技能に分かれてはおらず、1問解くごとに形式が変わる
両試験とも、一定時間経つと後の問題に戻れないという点は共通しています。
難易度は圧倒的にTOEFLの方が上です。
特にSpeakingやReading関しては、比にならないレベルでTOEFLの方が難しい
TOEFLは学術的な内容や、論理的な解答を求められる問題ばかりであるためです。
試験対策に使う時間もTOEFLの方が長いので、すぐに結果が欲しい人にはDuolingoの方が適しているでしょう。
一方で、時間をゆっくりかけて英語の実力のみならず、Critical Thinkingの能力など、実際に海外で生きていける力を養いたいという方にはTOEFL受験の方が適している
もし海外大学留学のため、安価で負担が少なく、急いで英語の試験を突破したいという方にDuolingoはかなりオススメです。
まずはDuolingoEnglishTestの公式ホームページで、志望大学の名前がリストに載っているか確認してみてください。
なるほどー問題自体の難易度はTOEFLの方が難しいのね!
そう、TOEFLの問題は結構特殊で難易度が高いよ、ボクも受けたことがあるけどIELTSより難しく感じたなー
IELTSとの比較
DuolingoとIELTSの大きな違いは、試験内容と受験方法です。
IELTSは2時間45分の試験時間ですが、Duolingoは1時間以内に試験自体が終わります。
他の試験の比較と同様に、Duolingoが1番短い試験時間なので集中力が発揮しやすい環境にある
時間における分野の比率としては、IELTSはReadingとWritingがそれぞれ1時間。
一方Duolingoはすべての問題がランダムに出題されるため、どの分野に寄っているのかすら明確ではありません。
IELTSの場合だとオンライン受験・会場受験どちらか選択できますが、Duolingoはオンラインのみ
しかし移住や留学を目的としているテストであることは共通点と言えますし、どちらも何回でも受験できるのは良いですね。
準備の段階で、実際に「使える」英語力を養っておきたいなら、IELTSの方がオススメです。
Duolingoはなるべく金銭的、かつ時間がない方向けのテストと言えます。
じゃあDuolingo English Testの方がいいの?
いや、そういうことではないよ、IELTSは本当に素晴らしいテストだけど、手軽さと値段だけはDuolingo English Testに軍配が上がる感じだね
TOEICとの比較
Duolingo | TOEIC | CEFR |
---|---|---|
60 | 550 | B1 |
100 | 785~ | B2 |
150 | ~990 | C1 |
160 | ~990 | C2 |
DuolingoとTOEICの大きな違いは3つあります。
- 問題形式
- 総合的な力VSビジネス英語に特化
- 解答時間
前提として、ここでは最も認知度のあるTOEIC Listening & Readingを比較対象とします。
まずDuolingoは試験中に発話したりタイピングをしたりするので、問題形式が大きく異なります。
聞いたり読んだりする力のみを伸ばしていきたいのであれば、TOEICで十分かもしれない
Duolingoではさまざまな問題形式がランダムで出題されます。
SpeakingやWritingの問題の比率がListeningやReadingよりも多くなってしまった場合、点数が予想よりも低くなってしまう可能性も考えられます。
次に、TOEICがビジネスっぽい英語に特化しているという点です。
TOEICは仕事のメール、広告、会議での会話など、基本的にビジネスで使われる英語の問題がほとんど
一方Duolingoで出題される内容は、特にビジネス英語とは限りません。
どちらかというと、日常生活に沿った英語のフレーズや会話内容に寄っています。
プラスアルファで科学や社会についてなどの少し専門的な内容が出題されることもあるくらい
情景描写をしたり、自分自身がどう思うかについて発話したりするような問題が多かった印象です。
試験時間はTOEICが120分ですが、Duolingoは30分です。
試験時間が4分の1で済むDuolingoの方が、集中力を保ち続けられるかという点で考えるとオススメと言えるでしょう。
TOEICとの比較は難しそう…
そうだね、そもそもの用途や内容が違うテストだからね…でも英語力を測るテストとしてはDuolingo English Testの方が優れていると思う、ただTOEICスコアが何としてもほしい人にとってはTOEIC以外の選択肢はないからね…
英検との比較
Duolingo | 英検 | CEFR |
---|---|---|
60 | 2級 | B1 |
100 | 準1級 | B2 |
150 | 準1級 | C1 |
160 | 1級 | C2 |
Duolingoと英検はリスニングにおいて大きく差があるように感じました。
例えばリスニングひとつとっても、英検の問題は比較的ゆっくり話され、大問1つごとに約10から20題前後あるようなものが多いです。
ひとつ例を出すと、聴く問題を解いた後に、次に進むと長めの文章を読んだり、写真を見て状況を説明したりするような形式の問題が出される
クイズ形式のような形で、公的な試験とはいえ比較的楽しんで解答できる形式です。
聴く問題に関してはDuolingoの方が英検よりも実用的な英語を使用している印象でした。
総括すると、解答者によって問題との相性があると考えられます。
英検のように、リーディングやライティング問題でまとまっている方が集中できるという人もいる
逆に、出題形式が毎回変化していくDuolingoの問題の内容が、他の英語の試験より難易度が低いように感じるために、答えやすいと感じる方も多いはずです。
ただ、試験結果を日本で活用したい場合は、英検の方が認知度は高いのでオススメ。
目的によってどの英語の試験を受けるかを決めるのが最適です。
英検のいいところってどこ?
級制度だから目標を段階的に決められるところかな!コツコツやりたい人には向いていると思う!一方Duolingo English Testは「それに向けて勉強しよう!」という感じではなくて、今の英語力を正確に測るというイメージだね
コメント